こんにちは、パラダイスウェア代表の橋本です。
時が経つのは早いもので、気がついたら私もこの業界で17年目(!)になってしまいました。
自分は就職氷河期世代なので、食いっぱぐれないように目の前の課題をクリアすることだけを考えて生きてきましたが、振り返ってみると何となく積み重ねてきたことや、ずっとポリシーとして貫いてきた考え方があることに気づいたりします。
ちょうど先日、Web制作会社の方から「ディレクターやプロジェクトマネージャーを育成する講座をやってほしい」と依頼されたので、自分の経験をまとめて、そのエッセンスをお伝えする講義を実施してきました。
出前講義で話した内容
下に埋め込んであるのがその時に使用したスライドです。
いろいろ口頭で説明することを前提に作成しているのでスライドだけだと流れがわかりづらい部分があると思いますが、全体的には下記のような構成になっています。講義自体は全4回です。
◇「キャリア」の考え方
・ディレクションやプロジェクトマネジメントは小手先のスキルだけだと行き詰まるので、柔道のように「心技体」というイメージで考えるといいよ
・キャリアってのは事後的に作られるもので、階段状の「キャリア」を企業や上司から用意してもらえると思っていると当てが外れるかもね
・そもそも統計的に見てもリーダーをちゃんと育てられている企業はほとんどないよ
・仕事や企業をあまり選り好みせず、目の前の与えられた仕事でベストを尽くしていると結果的にスキルやキャリアにつながるよ
・ディレクターやプロジェクトマネージャーは「案件のリーダー」なので、仕事を回すだけでなく関わる人を幸せにできるように頑張ろう
◇リーダーシップとマネジメント
・リーダーシップとマネジメントは分けて考えて身につけていくといいよ
・偉そうに指示を出すのは「ボス」であってリーダーではないよ
・リーダーはキックオフでボールを蹴る人のように批判覚悟でゲームを動かしに行く人だよ
・相手の個性に敬意を持って接してチームを動かさないと人は付いてこないよ
・リーダーの責任は重いけど、抱えすぎるのも良くないので人間関係は自分と相手で50%ずつで考えるといいよ
・人の個性を考える時に「コーチングの4つのタイプ分け」は決めつけすぎず、情報が少なくても判断できるのでオススメ
◇不確実な未来をどう生き抜くか
・大体ディレクターやプロマネとして一人前になるにはハードワークで3年、通常5年ぐらいはかかるので気を長く持とう
・リーダーの道のりは長いけど、世の中にリーダーは絶対的に足りないので頑張ってるといいことあるよ
・リーダーは短期的には「割に合わない」と思うことも多いので、ストレスマネジメントを学ぼう
・日本はスーパー人口減少&超高齢化社会で今より人が足りない社会になっていくよ
・人手不足やAI化、ロボット化でどんどん「それをマネジメントできる人」は必要になっていくよ
・ディレクションやプロジェクトマネジメントは今後どんどん必要になるスキルなので、大変だけど身につけるといいと思うよ
長年生き残るために必要なのはスキルよりもマインドセットや教養なのではないか
上記の通り、講義の初回はかなりマインドセット寄りのお話になりました。
個人的にはあまり精神論みたいなものは好きじゃないのですが、複雑なプロジェクトの第一線で活躍しているような人と話したりすると、やっぱりマインドセットとか、それを支える教養的な部分が傑出している人が多く、やっぱりそこをキャリアの初期に知っておくことは大事だろうと考えてこのような形になりました。
小手先のスキルだけでやってる人はやっぱり途中でキャリアが止まってしまったり、他の方向に行ってしまうケースがほとんどなのです。
またスライドにも統計を載せましたが、やはり今はどこも人手不足で、特にリーダーとして案件を回せる人というのは極めて不足している状況です。
自分の場合は、国内の「インターネット産業」が始まった頃に業界に入ったこともあり、ロールモデルもキャリアパスもない状況で目の前の課題をクリアすることだけを必死に考えていて、気がつけばずっとIT業界のプロジェクトの現場でリーダー的な仕事をやってきました。今はスタートアップの経営者をやっていますが、プロジェクト/プロダクトマネージャーとしての役割は変わっていません。
そんな中で、ふと業界の後輩たちが置かれた状況を見ると、自分達が遭遇したような新人教育をちゃんとやらずに現場に放り出して「放置プレー」で育つのを待つ、といった業界の悪習のようなものは今でも根強く、当惑している若者が多いのに気づきます。
これをなんとか変えたい個人的に問題意識を持っていたというのが、今回の出前講義をお受けした理由として大きいところでした。
ということで、第二回の講義は「生き残るためのディレクションとは何か」についてお話します。こちらもブログでシェアできればと思います。