人手不足時代のプロジェクト推進
橋本:みなさんこんにちは。パラダイスウェアの橋本です。
中島:中島です。
古長谷:古長谷です。
橋本:だれプロラジオ第5回は…あれ?
中島:ちがう第6回です。
橋本&中島&古長谷:(爆笑)
橋本:だれプロラジオ第6回は、
古長谷:第6回は「人手不足時代のプロジェクト推進」です。
深刻な人手不足だという認識が大事
橋本:もうねー、これ絶対抑えておかなきゃいけない認識だと思うんですよ、人手不足時代って。僕、経営者じゃないですか。で、あとプロジェクトマネージャーとかしていて、人が足りないっていう話しか聞かないんですよ、もう。どこに行っても。「人、居ないから、もうその話するの止めよう」って言うぐらい。(笑)
中島:「もう言うの止めよう」っていうぐらい。
橋本:そう。っていうぐらい人が居ないんですよ。その深刻さって、例えば「人手不足だね」って言われている時代ってもう2、3年前ぐらいから段々そうなり始めていて、「新しくこれをやりたいんだけど、人が足りません」っていう状態がここ半年前ぐらいかな?まで続いていて、今は、「今やってることの人が足りなくて大変なことになってるからどうにかしたい」っていう話に変わってるんですよ。
今まではベースラインがあって、「プラスのことをやるために人が欲しいんです」っていう話だったんですよ。だけど今は、「現状が維持できないからどうにかならないか」っていう相談とかがすごく多くて、深刻さがもう日に日に増している状況。
ITとかだと、お金の話になっちゃうんですけど、例えば人月100万円の5年以上の経験のエンジニアと、入社してすぐくらいの人月40-50万円ぐらいのお兄ちゃんお姉ちゃんみたいな若い人が居て、これって単純に費用で考えた時に2倍なんだけど、この人たちを2人連れてくればこの人と同じ仕事ができるかっていうと、絶対に無理なんですよ。
中島:無理ですね。
橋本:どんどんその人が足りないから、こういう専門性の高い人達が足りなくなっていて、ITってほんとに複雑化してるので、技術やビジネスが複雑化しているので、キャッチアップできてる人とかってものすごい取り合いになってますと。この中でどうやって日銭を稼ぐためのプロジェクトでビジネスだったりとか、新しいことをやるためのプロジェクトをやらなきゃいけないかっていうのはほんとに真剣に考えないといけないことで、いろんな企業の偉い人とかと話したりとかすると、認識がすごくマチマチなんですよね。
中島:へえ。
橋本:人手不足だっていう認識はみんなあるんだけど、「じゃあ別の会社に投げりゃいいじゃん」とか、場合によっては「海外に発注すりゃいいじゃん」とか、あるいは「教育すればいいじゃん」みたいな話とかってあるんですけど。
古長谷:笑っちゃいましたもん、今。
橋本&中島&古長谷:(爆笑)
中島:すいません。
教育と適切なマネジメント
橋本:僕は正解は教育と適切なマネジメントだけだと思ってるんですけど、教育って評価とか成果が出るのに年単位で掛かるので…。
中島:掛かります…。
橋本:例えば一人前のプロマネ育てようと思うと5年から10年は平気でかかるので、ソフトウェアエンジニアでもそんぐらいかかるし、デザイナーだってそうじゃないですか。マーケティングもそうでしょ? そういうことを考えると、5年後の会社を想像できる企業ってたぶん今ほとんどないので、その中で「教育を一生懸命やろう」っていう判断ができる人ってやっぱ少ないですよね。
中島:やっぱ教育してもどっか行っちゃいますしね。
橋本:行く。
会社の魅力
中島:会社に魅力がないと…。
橋本:そうなんですよ、そう。企業に魅力があるかないかだけなんですよ、ぶっちゃけ言ってしまうと。例えば、「うちは名のある会社で、金も出そう」って言って、優秀な人材が来てくれるかっていうとこれが来ないんですよ。
中島:もうそうじゃないですよね。
橋本:例えば優秀なソフトエンジニアとかって、もう100万円とかで来なくて、150万円とか180万円とか、そういう費用感で募集かけないと来なくなってくるんですよね。そういう人たちって、物欲がないんですよあんまり。ソフトウェアエンジニアの人って。僕が知っている人たちって、あんまりなくて。
だから要は、彼らが何で仕事を決めてるかって、お金は一つの技術に対する評価ではあるので、安いところでやるっていうのは基本はあんまりしないんですけど、例えば面白い仕事を80万円とかでストレスなく家でやったりとかできる状況と、150万円貰えるんだけどストレスフルで、何言ってるんだかわかんない人と仕事しないといけない場合、優秀な人ほど前者を取るんですよね。
中島:そうですね。
橋本:後者に行こうと思えば行けるし。でもそれは、人生のトータルの幸せ感、幸福感みたいな感じで考えるとないから。でも、企業が払っているお金は倍ぐらい違うわけですよね。
だけど、前者に行く理由って何かっていうと、エンジニアの仕事についてどれぐらいちゃんと会社が理解して、それをお願いしていて、制度なり仕組みなりを整えているかどうかと、あとやっぱエンジニアって0から1を生み出す人たちなので、文字書くだけでアプリとかシステムとか作っちゃうわけで、デザインとかもそうですけど、すごいことじゃないですか。
中島:すごいです、すごいです。
橋本:その力を何に使うかっていうのって、優秀なエンジニアほど考えるんですよ。誰の役にも立ってないとか、場合によっては儲かるけど人の害になるビジネスっていっぱいあるじゃないですか。
中島:ありますね。
橋本:そういうところって優秀な人って行かないんですよ。
中島:行かないですよね。社会的意義とか、そういうところで魅力的に感じるところにやっぱ行きますよね、どうしたって。
橋本:そうなんですよ。そういうことをね、やっぱ経営者なり、会社のマネージャーがどれだけ本気でね、考えているかどうか。「うちはこうなんだよね!」みたいな感じで開き直って採用予算とって、キラキラした募集ページを作れば人が来るかっていうともうそういう時代じゃない。
中島:もう無理ですよね。札束で顔ひっぱたいても、来ないものは来ないですからね。やっぱそういうところからどんどん人は流出していっちゃいますし。名のある企業でもね。
橋本:そうそう。今、お金がある会社でも、僕は人材の流出のところをプロジェクトの側で知ってるので、「ええ、この企業、今お金めっちゃ持ってんのにすごい人出てってるじゃん」みたいなのってあるんですよね。
中島:いや、聞きますよね。そういう話って伝わっちゃうし。
橋本:スタートアップとか、フリーランスの人たちってネットワークがあるから、一回変な話を流されるとそこに誰も行かなくなる。
適切な人に適切な仕事を。若手教育の必要性
橋本:人手不足って総務省の計算で「2025年には何百万人のギャップがあります」みたいな話があるんだけど、そういう話ですらなくて、もはや。やりたいことはできずに倒れていく企業がこれからどんどん増えていくと思うんですよね。
中島:これでも、どうしたらいいと思います?
橋本:日本社会ってまだまだお金いっぱいあるんですよ。そのお金を有効に使うしかなくて。その使い方が頬っ面ひっぱたくような使い方でなくて、適切な人に適切な仕事のやり方をできるように、これからマネジメントの領域を強くすることが大事だなと。あとは若い人の教育ですね。僕は就職氷河期世代なので、教育してもらえなかったんですよ、一切。
「生き残った奴だけ居れば良い」みたいな世界だったので教育してもらえなかったんだけど、それによって、今同世代の人たちが、単純な作業しかできない人と、ビジネスを作るレイヤーにいってる人ですごいギャップがあって、教育があれば人材のバリエーションとか今足りないと言われているマネジメントができる人材ってたくさん居たはずだと思っています。
中島:んー、そうですね。
橋本:それをいつまでもね、続けてはいけないなって思いますね。
人材の流出にどう対処するか?
中島:「会社に魅力がないと教育しても外にいっちゃう」みたいな話に戻りたいんですけど、どうしたって避けられない場合ってあるじゃないですか。会社って、「会社さん」っていう人があって人格があるわけじゃないんだけど、いまいち良い空気感じゃない会社って、感度高い優秀な人からどんどん抜けていっちゃうじゃないですか。
橋本:ええ、すごいわかりやすいですよね。
中島:ねー? そういう経験を皆さんしてると思うんですけど、僕もサラリーマン時代に良い人がどんどん抜けてっちゃうみたいなことが起きているところに居たんですよね。そして、まあ自分も良いタイミングで抜けてみたいな感じになるんですけど、それって食い止めることってできるんですかね?
橋本:僕はね、今はそれ「食い止める」っていう考え方自体が傲慢だと思う。
中島:あー。
橋本:会社って1つの仕組みで、昔だと終身雇用の厳存みたいなのがあったから「勤め上げて」みたいなのあるけど、今そんな会社ないじゃないですか。
中島:ないです。
橋本:政府、官僚とか、ね? 役人になったって、将来のことなんてわからない状況なので、「一緒に仕事をやりましょう」っていうスタンスじゃないと、やっぱり厳しいと思っていて。
僕は経営者なんで、ずっと考えてたことがあるんです。よく「あの社長は社員を食わせてる」みたいな言い方するでしょ? 「会社が社員を食わせてる」みたいな言い方って一般的によくあるんだけど、あれって昔の考え方だなって思っていて。
「一緒にビジネスをやって、一緒にそれによって利益を生み出したので、それを適切に分配しましょう」っていう。その関係が合意できているんであればずっと続くだろうし、それがどっちかの考え方がズレていって「違うね」ってなったらお別れすることもあるでしょう。
だって今はもうね、そういう考え方じゃなくても2-3年で居なくなるのがよくあるわけなんで、別れ自体は有り得ることだと思うので、「できるだけ関わった以上は良い関係を持てるようにしましょうね」っていうスタンスじゃないと厳しいと思う。
辞めても良い関係が続くスタイル
古長谷:会社がっていうか、そこにいる人が私は恵まれてたと思うんですけど、一番最初の会社で辞めたあとに、改めて「良い会社だな」と思っていて。この間、私がブランディングするプロジェクトで、最初インテリアの会社に居たので施工をお願いしたんです。
やっぱり彼らがやる仕事は良い仕事だし、「ちょっとこれ困ったな、誰に訊こうかな」という構造の話とかをポッと相談したら、私が頑張ってるからって言って快く相談を今でもしてくれるっていう人たちが居て。
中島:素晴らしいなあ…。
橋本:素晴らしい。
古長谷:そうすると、辞めたあともまた一緒に仕事をするっていう緩やかなアライアンスが続くんですよね。
中島:やっぱそこで良い教育を受けてたんでしょうね。
古長谷:ほんとに有り難かったんだなっていうのは。
中島:そういう良い形で辞めてれば、例えば出て行っちゃったあとも、ちょっと戦力になってくれるとか良い関係がね。
古長谷:お互い仕事をお願いしたりとか。前の会社から貰ったこともあるし、お願いしたこともあるみたいな。
中島:素敵。
橋本:良い会社って離職者、OB、OGって言い方よくするけど、そこのネットワークの作り方がすごい上手いんですよ。出戻りも歓迎だし。
古長谷:多いんですよ、出戻りも多かったりとかするんですよね。
中島:すごいなー。
橋本:フリーランスとか個人事業主の荒野、起業の荒野に一度出ると、「いかに自分が守られてたか」ってことを痛感するので、いろいろ考えた上で出戻ってくる人って「こんなとこ出てやる」と思っていた時代よりは絶対忠誠心高いんで。外でいろんなものを見て知ってるわけなんで、絶対良い人材のはずなんですよね。
中島:そうですね。
古長谷:スキルアップして帰ってくるみたいな。
橋本:そういうのを良しとするかどうかみたいですね。やっぱり昔は、会社っていう箱があって、ここでずっと偉くなって、定年退職して、退職金貰って、安定した老後と年金で、みたいな感じだったんですよね。
でも、今はもうそれが社会全体で崩壊してるし、人手不足だから人材があっち行ったりこっち行ったりするんだけど、会社の中でやるべき教育とマネジメントをちゃんとやって、それでも出ていきたい人も当然出てくるけど関係は大事ですよね。出て行く理由にもよるだろうし、人間関係なので喧嘩別れすることもあるだろうけど、外行ってみたら「あの時誰それさんが言っていたことよくわかりますわ」みたいな感じで帰ってくる可能性だってあるし。
中島:そうですね。
橋本:そういう感じで付き合っていくしかないのかなあというのはすごく思いますね。ほんとになんかもう打ち手がそれぐらいしかないんですよね。もうお金で何とかできる時代じゃないんだなっていうのはすごく思う。
終わりに
中島:というわけで、
橋本:第6回、人手不足時代ですね。これもめちゃくちゃ大事なネタなんで、多分今後もね、ちょいちょい出てくると思いますが…はい、ということで、ありがとうございました。
中島:ありがとうございました。