愛されるプロダクトとは?
橋本:皆さんこんにちは。パラダイスウエアの橋本です。
中島:中島です。
古長谷:古長谷です。
橋本:だれプロラジオ第8回ですね。始めたいと思います。今回のテーマは。
古長谷:愛されるプロダクトとは。
橋本:はい。ですね。これはリスナーの方からリクエストいただいたお題でして、第6回ぐらいかな。会社に魅力が必要だという話をした時に、やっぱり事業の中心となるプロダクトが愛されてないと駄目ではないかと。プロダクトの魅力的なところっていうのが大事なので、それについて話してほしいという話ですね。どうですか。愛されるプロダクトってどうやって作るんですか。
愛されるプロダクトの作り方
古長谷:そもそも愛してるプロダクトだったから、作ってる人に声かけしてジョインしたっていう経緯があるので。
橋本:うちの会社にね。
古長谷:私が。
中島:そうですよね。
古長谷:特殊ケースですかね。
橋本:全然宣伝じゃないんですけど。
橋本&中島&古長谷;(爆笑)
橋本:マンモスプロジェクトは、人に言われてやってる仕事じゃないじゃないですか。
中島:じゃないですよね。
橋本:自分で起業して会社作って。もちろんユーザーの声とかお客様の声っていうは当然聞いて、いいものにしようって作ってるんですけど、一番最初に僕が起業した時に…起業したばっかりはあれか。いろいろ大変だったか。
橋本&中島&古長谷:(笑)
中島;黒い時代ですね。
橋本:いろいろあって、自分たちにしか作れないプロダクトを作りましょうといって、マンモスプロジェクトをずっと作ってきてるわけだけど、たぶんメンバー全員プロダクトについては愛があるんじゃないかなって僕は思ってるんですけど。
中島:そうですね。愛はありますよ。
橋本:ですけど、受託でもいろいろプロダクトって作りますよね。ウェブサイトでもそうだし、アプリでもそうだし、システムでもそうだけど何が違うのかっていうところってどうですか。
中島:魅力的なものとそうでないもの。
古長谷:みんなの意見を寄せ集めて作ったら、誰のためのものでもないものにはなっていて。やっぱり誰かがこれやりたいっていうのでみんなが力を合わせると、割とすごく愛されていくんじゃないかなという気はしますね。
中島:そうですね。
橋本:僕は新規事業とか新規サービス専門っていうぐらい、たくさんお金いただいてやる仕事でも多いんですけど、「絶対これはやる」っていうのがあります。例えば新規サービス作るんだけど要件定義は1か月半しかないとか。1か月しかないとか割と無茶ぶりだと思うんですけど、あるはある。
中島:ありますね。
橋本:その中で絶対これは外さないようにしようと思ってるのが、愛されないプロダクトなりシステムなりは絶対作らないようにしようと思ってるんですよね。例えば愛されるっていうとどうしてもiPhone のアプリとか、C向けっていうんですけど、一般の人が使うサービスのことを考えてしまうんですけど、業務システムでも愛されてる業務システムと全く愛されてない業務システムってあって。
中島:ああ、そうですね。あります。
橋本:あるでしょ。僕は作る人なので、愛されてない業務システムを見るとものすごく心が痛むんですよ。システムとかって、本当に動くものを作るだけで大変なので、そこに必ずいろんな人の努力とか、成功とか失敗とかいろんな思いが入ってシステムが動いてるわけですけど。止まると文句言われるし、みたいな。
そうやって一生懸命作ったものが愛されてないっていうのって、「このシステムとても使いづらい」、「仕事が面倒くさくなるだけ」みたいなってすごく不幸なことだと思っていて。そこに当然何千万円とか何億円とかお金入ってたりするので、もちろん動いて要件を満たすってことはそうなんですけど、愛されている、愛されるものを作るっていうのは思っています。
愛があるかどうか
中島:そうですね。愛されてる業務システムって、なかなかお目にかかることがないんですよ。
橋本:あんまり見ないですね。
中島:結構みんなブーブー言いながら使ってたりとか、システム自体が古いとか、IE何ちゃらでしか動かないとか。
橋本:今でもある。
中島:ありますよね。本当に。
橋本:あるね。それってなんかもうやってる人の愛がないじゃないですか。IE でしか動かないとか。
中島:そうですね。
橋本:ユーザーの方はあんまり知らないかもしれないですけど、IE じゃないといけない理由ってほぼないんですよ(笑)言ってしまうと。今やね。
中島:今や。
橋本:この会社では IE が標準ブラウザだから、IE に対応せねばならないってルールがいつかの時点でできたことはわかりますよ。これはもうしょうがないんだけど、それを「今もそうじゃないと駄目だ」っていう人に愛があるのかっていう。
中島:ないですね。
橋本:ないなって僕は思うんですよね。僕が実際にプロジェクトに入ったら、「これって本当に IE である必要ありますか」みたいな話から変えていくので、そういう何だろうな。ちょっとしたことなんだけど、要件にIE対応必須って入ってる入ってないでプロジェクトのやりやすさって全然違うんで。
中島:変わりますね。
橋本:過去何回か、エンジニアがどういう会社を選ぶかっていう話をする時に、IE対応を今でも一生懸命やらないといけない会社に行きたがる人がいるかっていう。
中島:僕は聞いたことないですよ。そんな人。
橋本:まぁね。ないですよね。
中島:ないですよ。
橋本:ユーザーが使って嬉しい、ハッピー、仕事が楽になった、お金が儲かるみたいなのは愛される条件としてあるんだけど、まず最初に仕事を組み立てる人とか、作る人が愛情を持ってやれるかどうか。
中島:そうですね。
橋本:みたいなのが僕は一番大事なんじゃないかなって思ったりしますね。
なぜ愛がないプロジェクトが生まれるのか?
中島:作る人に愛がないプロダクトは、結局お客さんに出しても愛されるわけがないですからね。
橋本:そうなんですよ。なぜ世の中的に愛されてないシステムとかプロダクトが多いかっていうと、例えば仕事の受発注であったりとか、その上司が言ったことをそのままやりましたとか、営業がお客さんから実装してほしいって言われたものをそのまま実装しましたみたいな…なんて言うんだろう。上から下とか、右から左に流す仕事をずっと続けてると、「言われたからできました」っていうものになっちゃう。
中島:そうですね。
橋本:それはやっぱり愛されないですよ。
中島:そうなんですよ。
古長谷:誰のためにとか何のためにという根本の要件定義の部分で、誰かがしっかりとそこを掘り下げてないと、グズグズのプロダクトが。
橋本:僕は例えでよく言うんですけど、例えばよく使うのが地方の古い旅館に行くと、増改築を繰り返して2階にいたはずなんだけど、別館に行ったら3階にいるみたいなってあるじゃないですか。
中島:九龍城ですね。
橋本:僕はそういう旅館はわりと好きなんだけど。
中島:僕も好きですね。
橋本:味があるじゃないですか。
中島:味がありますね。
橋本:味があるけど、便利か不便かっていうとまぁ不便だったりとか、あとお客さんとか仲居さんとかも移動が多かったりとか大変だったりしてるんで、新しくものを作る時にはそうじゃないほうがいいわけですよ。
中島:そうですよね。
解釈と提案が大事
中島:そういう例えば業務改善のシステムを作るとかいった時に、これが今こうだからこう変えてほしいって直接言われたことをそのまま実装するんではなくて、あなたが言ってることこういうことですよねって。
橋本:そうそう。一回受け取って解釈をするのがすごく大事で。
中島:そうなんですよね。「結果あなたが実現したいのってこういうことじゃないですか」というキャッチボールがやっぱり大事で。言われたまんまにやっちゃうと何だかわけの分からないいびつなものになってしまうっていう。本当に多い。
橋本:意見をいうお客さんとか、見込み客とかユーザーの人たちって、言い方あれですけど素人なんですよね。自分の要望とかを言うんだけど、例えばベースの機能があって、こここう変えてほしいんだよねみたいな話をするとするじゃないですか。だけどよくよく聞いてみると、それは10回に1回しかやらないことだろうとか、あとは半期に1回しかやらないことだったりとかするんですね。
だけどそれをちゃんと、なんでその人がそういうこと言ってるのかとか、それはどういう状況でほしい機能なのかっていうのを聞かずにそのまま入れてしまうと、普段使う機能が使いづらくなって、満足度が下がりますみたいなことよくあるんですよね。それなのでちゃんと受け止めて、考えていくことが愛される。それ結構しんどいんだけどね。
中島:しんどいですよね。
橋本:精神的にはすごくしんどいんだけど、それを繰り返していかないとやっぱり愛されるものにはならない。
中島:ならないですよね。
古長谷:その伝え方も、ITのプロの人たちからしたら当たり前なんだけれども、素人の方というかそうじゃない業界は難しい時に、私は建築学科出身なのでさっきの旅館の例えはめちゃめちゃ分かりやすくて。建物の中だったら分かることが、画面の中とかデバイスの中だと本当に迷って出てこれないっていうことをどういうふうに伝えていくかというのは。
橋本:その伝え方のところはかなり専門性とか経験が出るところで、人の話を聞いて反映しなきゃいけないっていうのは多くの人は分かってるんだけど、よくあるのが資料にまとめてあるでしょみたいなスタンス。
古長谷:笑っちゃいますよね。
要望を正確に汲み取る
橋本:例えば、リテラシーがそんなに高くないお客さんからある要望をもらいました。それを解釈して優先順位つけて、要件定義書に全部落としましたと。「これでいいですよね?」って言われて持ってって、「いいと思います」って言う人は承認する人でも、意見を言った人とは違ったりするし、だけど「これでいいって言われたからこれで作ったんだけど、使いづらいってどういうことですか?」みたいに逆ギレみたいな。
これはちょっと塩対応というか。やる人の気持ちは僕は分かるんですよ。別に何も間違ったことをやってないし、一生懸命相手の話を考えてやってるってこと自体は変わらないんだけど、結果として伝え方とか合意の取り方に、それこそ愛がなかったから、結果できたものが完全にすれ違ってるみたいな話になっちゃう。
中島:そうですね。
橋本:ちょっとした手間とか、それも結構難しくてしんどい部分ではあるんですよ。例えば一番分かりやすいのがプロトタイピングっていって、ウェブの世界ではよくやるんですけど、デザインなり実際に簡単に動くシステムとかを作ってお客さんのところに持っていくんですけど、お客さんはリテラシーが高くないので、「出来上がった完成品」との比較でいろいろコメントをしてくるんですよね。
結構辛辣なコメントをもらったりとか、すごく大きい注文をもらったりするんだけど、それはお客さん側には難易度とか分からないし、「あれば嬉しい」なのか「必須」なのかっていう判断もつかなったりするので、そういう場に出て行くのって結構しんどいんですよ。
責任を持ってる立場で行くとね。営業の人が行って「こうでした」って言うのはそうでもないけど、作るプロジェクトマネージャーとかプロダクトマネージャーっていう立場でそれをやるのは結構しんどいことなんだけど、それ抜かしちゃうとやっぱりいいものになっていかない。
中島:そうですね。みんなで幸せにはなれないってことですね。
愛されるものを作ろう
橋本:僕ね、尊敬する起業家でヘンリーフォードっていう人がいます。僕よく車社会の話出しますけど、ヘンリーフォードの有名な言葉があって。ヘンリーフォードっていう人はT型フォードっていう車社会のベースをアメリカで作った、車で社会の革命を起こしたような人なんです。
その人が成功した後に、「このT型フォードが売れるかどうかって分かってたんですか」っていう風に聞かれて、「もし自分がT型フォードを作る前に、見込み客にどういうものほしいですかって聞いたら、もっと速く長く走る馬がほしいと答えてたと思うよ」って発言があったと言われています。
一般的な利用者の人は、目の前にあるものは評価できるけど、自分が本当にほしいものはやっぱり分からない。スマホだって、iPhone が先にアメリカで出た時に、僕すごく覚えてるんですけど、今言うこと変わってる人いっぱいいて、「嘘ばっかり!」って思うんですけど、「iPhone なんて日本じゃ絶対売れない」って言う人ばっかりでした。
中島:「絶対無理!」って言ってる人いっぱいいましたもん。
橋本:僕は新しいもの好きだったりとかするし、実現したいことがすごく夢があったんで、iPhone が日本に来たら買おうって思ってたんですよ。だけど「こんなもん売れるわけない」って言ってた人達は「カメラの性能悪い」とか、「電池がもたない」とか、そういうことで駄目だ駄目だって言ってたんだけど、時が経ってみれば、iPhone と、それを模したって言っていいと思うんですけど、Androidが世の中を席巻してますよね。やっぱり「愛されるものをどうやって作るか」みたいなのがすごく大事なんじゃないかなと思います。
まとめ
橋本:作り手に愛があって、その愛って何かっていうと、「この人が本当にほしいものが何か」っていうのを考え続けること。それはプロジェクトマネージャーとかプロダクトマネージャーもそうだし、デザイナーもそうだし、エンジニアも一緒に考えて作っていけると愛のあるプロダクトになるし、そのプロダクトが売れたりとか、実際にユーザーからこのプロダクトすごい便利なんでって声もらえるとみんな嬉しい。
中島:そうなんですよね。
橋本:ということで、第8回愛されるプロダクトについてお話しました。ありがとうございました。
中島:ありがとうございました。
古長谷:ありがとうございました。