新規事業の魅力とは?
橋本:はい、皆さんこんにちは。パラダイスウェアの橋本です。
中島:中島です。
古長谷:古長谷です。
橋本:だれプロラジオ第9回。第9回は…
古長谷:新規事業の魅力とは。
橋本:新規事業の魅力。新規事業ね、このラジオで結構何だろう…「大変です!」とか(笑)
中島:そうですね。負の部分ばっかり(笑)
橋本:負の話ばっかりしてたんだけど、僕らは本来自分たちでスタートアップやってるし、受託でやる案件も新規事業めちゃくちゃ多い。
中島:多いですね。
古長谷:ばっかりですね。
中島:ほとんど新規事業ばっかり。
橋本:なんか本当、新規事業の専門家っていってもいいぐらいに。その魅力部分を語ってなかったので、お話できればなと思うんですけど、中島さんはどうですか。
中島:基本的にはやっぱ新しいことが好きなんですよ。
橋本:分かる。それはね。
中島:世の中にないものを作りたいんですよ。それで少しでも誰かが幸せになったりとか、楽しくなったりとか、世の中良くなればいいなって思って作ってるんですけどね。やっぱりまだ無いものを創造するっていうのは魅力ですよね。
橋本:古長谷さんは。
古長谷:私はいろんなプロフェッショナルな人と何かを作るので、想像以上のものができたりする、その化学反応というか、誰かの想像力にびっくりするみたいなことが楽しいです。
中島:それはありますね。確かにね。
橋本:なるほど。僕は今の2人が言ったこと、新しいことやりたいとか化学反応ね、チームの化学反応というか、クリエイティビティの化学反応っていうのは起こるんで、それはすごくいいなっていうのはもちろんありますね。
それに、自分は起業してスタートアップやってるじゃないですか。結構大変なわけじゃないですか(笑)。だけど「なぜやめないのか」っていうことをたまに考えるんですけど、例えば自分が生きたことで何を残せたかみたいなものが、結構僕の中でテーマとして大きくて。「あ、俺これやったわ」って思って死ねればいいと思ってるんですよ。
中島:なるほど。
橋本:それに、お金とか死んだら持っていけないじゃないですか。
中島:そうです。
橋本:「これ俺やったな」っていうのがあるとすごいハッピーだなと思ってます。僕、結構好きなエピソードがあって、これもベタベタなんですけど、スティーブ・ジョブズいるじゃないですか。
古長谷:ジョブズ。
橋本:ジョブズについてはいろんな映画とか本とかあって、賛否両論というかあるんだけど、僕すごく好きなエピソードがあるんですね。ジョブズって膵臓がんで亡くなったじゃないですか。それで末期は「もう体力的に仕事するのは難しい」となって。
だから最終日にアップル本社で「荷物片づけて帰ろう」と思ってたところに、アップル本社って今観光地みたいになってて、写真を撮りに来てる人がいっぱいいるわけですよね。そこに老夫婦の観光客がいて、「すいません。写真撮ってもらっていいですか?」って言われてジョブズに出したのが iPhone だった。
中島:ああ。すごい。
橋本:老夫婦も自分たちが頼んだ相手がジョブズだっていうことは認識してなくて。
中島:ああ、いいですね。
橋本:で、ジョブズも「もちろんいいですよ」って言って iPhone で写真を撮ってあげて、本社を最終日に帰ってったって。もう最高じゃないですか。
中島:これ深酒してたら泣いてますね。
橋本:僕ね、これすごくよく思い出すんです。
中島:いいですね。
橋本:そういう終わり方がプロフェッショナルとしてできたら、本当に最高だろうなと思って。
何か新しい価値を残したい
古長谷:私は IT以外にもブランドとしてお店を作ったり、商品を作ったりする時に、沖縄土産もらったんだけど、これって言った紙袋が私が立ち上げたブランドだったんですよ。
中島:おお。すごい。
古長谷:そういう時も、生きててよかったなって。
橋本:たぶん新規事業やる人ってそういうのがあるんじゃないかなと思っていて、別に自分たちが新規事業やってるからってわけじゃないし、会社とか人にはいろんな事情があるの分かってるんだけど、ルーチンワークで言われた仕事をやるっていうよりは、何か新しい価値とかを残したいっていう人たちが新規事業やるのかなって思ってます。
中島:そうですね。
現代日本における新規事業
橋本:例えば、会社員とかで新規事業をやるといいことなんにもないからね。
古長谷:これ「ピー」のところで。
橋本:日本の企業って、給与テーブルとか評価の話もそうなんですけど、日本って高度経済成長で、戦争で焼け野原になって、高度経済成長で国民の暮らしを豊かにするんだっていって工場いっぱい建てて、それをどんどん海外に輸出して、テレビとか冷蔵庫とかやって生活豊かになりましたという国で、そういう国で何が大事かっていうと、今1.2億人いるわけですよね。6000万人ぐらいからガガーっと増えて。
その時に工業製品をたくさん普及させるということでいくと、新しいものにトライする人を増やすんではなくて。そういう人も必要なんだけど、より正確に数字、お金の話とか、例えば工場で働いてものを作って組み立てるみたいな人のほうが、圧倒的に大事だったんですよね。
その仕組み自体はまだ今も残ってるから、物事を正確にやる人が一番評価されるんですよね。とはいえ、いま経済が落ちてきていて、IT なんかは特にそうですけど、海外との競争が激しいという中で「新しいことをやんなきゃいけないよね」っていう話をいろんな企業でテーマとしてあるんだけど、じゃあそれやりますって手を挙げた人を、今まで物事を正確に回す人たちを評価するための仕組みとマッチするかっていうとしないですよね。
よくあるのが、前の回でも話しましたけど、新規事業が本当に利益を出し始めるのに3年とか5年とか10年とかかかるのが普通で、その間って投資期間なので、よくあるのが、「お前、金ばっかり使いやがって」と言われるパターン。「儲かりもしないものに」っていうのは絶対言われるんで、こういうことに耐え続けないといけない。
中島:そうですね。
橋本:そう。なかなか評価とマッチしなくてみんな辞めちゃう。会社を。
古長谷:4-5年も待ってくれないですもんね。
橋本:待ってくれない。今はもう、だって2期目で「どうすんの」みたいな話になるんで。それが普通ですよ。
中島:そうですよね。
古長谷:そうですけどね。
橋本:「だったらやらなきゃいいのに」って話に戻っちゃうんですよ。
中島:そうそう。
古長谷:そうなんですよ。
橋本:投資の考え方がその会社にないと、「これは5年10年やるんだ」という覚悟がないと、やっぱり数字だけの比較になっちゃうんで。
中島:そうですね。
新規事業に対する向き不向き
中島:なんで新規事業に魅力を感じてるかっていうところで、ちょっと角度違うんですけど、僕ルーチンワークとかすごい苦手で、同じことずっとやってるのとか結構無理なんですよ。
橋本:デザイナーはそういう人ばっかりでしょうね。
中島:インハウスの人とかって、そういうところが好きな人もいるんですよ。
橋本:インハウスはいるね。
中島:それは全然それはそれでいいと思っていて。
橋本:全然役割も違う。
中島:違うと思うんですよ。僕同じとこに毎日通って、同じ人たちと同じことをし続けるってことが、なんか性格的に無理みたいで。だから同じ会社に3年以上いれたことがないんですね。できないんですよ、なんか嫌になってきちゃうんですよ。
橋本:この会社にはずっといるけど。
中島:そうですね。そうなんですよ。
橋本:縛りがないからね。
中島:そうですね。単純に新しいことをやり続けていることが好きっていうのもあるんですけど、同じことをずっとやってられないから、非常に合ってるは合ってるかなと思いますね。
橋本:僕もルーチンワークはどちらかというと苦手なほうですね。ルーチンワークとか言われた仕事やってると、「この仕組みって合ってるのかな?」って考え始めるんですよ。
中島:疑問に思っちゃうんですよね。
橋本:そう。それを変えようとするとものすごく怒られたりするし。
中島:変な圧がかかってくるんですよ。
古長谷:圧がありましたね。
橋本:「お前いらんことするな」って言われるから。そういうのは、やっぱり向き不向きがあると思うんですよね。
中島:そう。あると思うんですよ。
橋本:そうなんですよね。大企業とかでよくあるのが、新規事業を山っ気がある人が始めて、さっき言ったみたいに評価されないし、社内からいろいろ言われるから嫌になっちゃって辞めて、次はルーチンワークタイプの人が来ちゃって、ショボショボみたいなのは本当にすごく日常的にある。
古長谷:あるある。
橋本:だから本当は会社の上層部、上の人たちの比率でルーチンワークを評価する仕組みとか組織っていうのが一つあって、新規事業で新しいことをやる人たちみたいな感じで、ちゃんと分けて、なおかつその間でケンカしないようにちゃんとね。
中島:そうですね。
橋本:この間で大体ケンカするんで。「なんでお前面倒くさい、儲かりもしない話を持ってくるんだ」って言われちゃうじゃない。そういうのは「どっちも会社にとって大事なんですよ」っていうようにやっていかないと。
当たったときの喜び
橋本:あと、新規事業で儲かり始めたら、もう面白くてしょうがないですよね。
古長谷:ニヤッとしちゃいますね。
中島:本当にそうですね。
橋本:自分たちが、場合によってはエクセルのアイデアとかテキストの1行から始まった事業をやって、それに価値を感じてお金を実際払ってくれる人たちが出てくるとかって、相当すごいことだと。
中島:すごいですよ。そうですよ。
橋本:それがさらに儲かって、よりプロダクトを良くしたりとか、より喜んでくれるお客さんが来てくれるみたいなのって、なんかたまらんものがありますよね。
中島:たまらんですよね、本当。
古長谷:メンバー採用とかで辛い夜とか、いろいろ折ったりとか作業したりしてると、「夢はガレージから始まるんだ」って。
橋本&中島&古長谷:(笑)
古長谷:それがいい思い出になる時って本当あるじゃないですか。
中島:ありますね。
橋本:そうねー…辛い思い出ばっかり。
橋本&中島&古長谷:(爆笑)
中島:でもやめないじゃないですか。
橋本:やめないね。
中島:やめないですよね。
プロダクトに対する思い
橋本:あとは新規事業って、そこに自分の思いを乗せられるみたいなのがあるでしょ。これやりすぎるとただのエゴになっちゃうんでよくないんですけど、なんで我々がプロジェクトマネジメントのツールを作ってるかっていうと、僕は自分のプロジェクト失敗しないんで、自分のことだけ考えてれば、いい給料もらってプロジェクト成功させてっていうのをずっとやれるわけなんですよね。
でも、例えば会社とかでプロジェクトやってると、隣のプロジェクト炎上したりとか、それでみんながアンハッピーになったりとか、場合によっては鬱になったりとか、いろんなそういうのを見かけるわけですよね。そういうのを見続けるのがもうしんどいんですよ。嫌なんですよね。
だから、これが自分がいいだろうと思うツールとかあとコンテンツを作って、このラジオもそうですけど、少しでもそういう人たちが減ったりとかするといいなと思うみたいな話って、会社で決裁通らないでしょ、なかなか。
中島:そうですね。「何を言うとるんだ君は」っていう(笑)。
橋本:これでキャッシュを生み出し始めるともうみんなバンザイってなるんだけど、そこにいくまでが大変なわけなので。
中島:そうですね。
必要なエゴ
橋本:新規事業のメインをやる人の思いって、やりすぎるとエゴになるけど、必要なものでもあって。
中島:そうですよね。エゴ必要ですよね。
橋本:前回の愛されるプロダクトの話もあるけど、やっぱ一番愛してる人が誰かみたいのってないと軸がぶれるし、その人がもういいやってなると、やっぱヒューってなっちゃう。
古長谷:一気に。
橋本:それなので、その思いをどのぐらい持ってる人がいるかっていうのはすごく大事だと思いますね。
中島:確かにそうですね。
これから新規事業を始める人へ
中島:新規事業を経験したことない人もいっぱいいると思うんですよ。これから新規事業をやるといったところに志願するとか、自分で企画書を出してやりたいみたいなことを言う人に一言言ってあげるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいですか。
橋本:いやあ。大変だけど頑張ってくださいって。
橋本&中島:(爆笑)
橋本:僕あれなんですよね。仕事で新規事業をやりたいっていう企業とか、担当者の方を手伝うわけですよね。基本的に。自分がその道を歩んできたから、それがどんだけの茨の道かって知ってるわけですよ。だから都度確認は入れますよね。「本当にやる?」って。
中島:「やる?」ってね。「覚悟ありますか?」ってことですよね。
橋本:映画で「マトリックス」ってあるじゃないですか。仮想世界で普通の生活をしているお兄ちゃんが、実はこれ現実の世界じゃないんだって言われて、モーフィアスっていう人が来て、ピル(薬)をどっちか選びなさいと。
青いピルと赤いピルがあって、青いピルを飲めば嘘の世界だけど今までと同じ生活ができる。赤いピルを飲むと現実の世界を知ることができるけど、その世界は過酷だよっていう。まあ映画だから、映画の主人公だから当然赤いピルを飲むわけですけど、僕はこのモーフィアスの気持ちになるわけです。
中島:ああ、なるほど。
橋本:「新規事業をやりたいです」って言ってる担当者がいて、熱意もある、能力もある、会社もお金を出すと言っているけど、「あなたが飲むのは赤いピルですよ」と。
中島:そうですね。茨ですよね。
橋本:一度新規事業の楽しさとかを知っちゃうと、もう青いピル飲めないんですよね。
中島:そうですね。
古長谷:私は今33歳なので、私の世代って、ずっと生きてきて記憶がある限り不況じゃないですか。終身雇用とかないし。
中島:ないない。
古長谷:そう考えると「キャリアパスとして計算高く考えても、会社でチャレンジできるならしといたほうがいいよ」と思うんですよね。
中島:確かに。
橋本:その思考がすでに新規事業向きの人なんだよね(笑)。
中島:確かに。
古長谷:生存者バイアスが。
橋本:でもこれ本当にそうで、我々ってもう年金って期待できないでしょ? してないでしょ。
中島:ぶっちゃけね。
古長谷:してない。
中島:払ってますけどね。
橋本:払ってるんだけどね。それはもう国の仕組みの話だから、何かが変わらない限りは一応払わないといけないわけだけど、70歳ぐらいまでは働かないといけないなって思ってるじゃない。あるいはそれまでにドカンと当てて、それなりの資産を作っておかないとって思ってる。
中島:そうですね。
橋本:それって、「新しい何かにトライする」以外にないんですよね。
中島:ないですよね。
橋本:そういう超長期の人生プランを考えても、新しいことにトライできるノウハウをどっかで得とかないといけないっていうのはみんなありますね。
中島:そうですね。
古長谷:なるべく早いうちのほうがいいですよね。
橋本:早いうちがいいけどね。
中島:ちょっと早すぎてもね。
古長谷:リカバリーできない。
中島:若すぎてもちょっと。経験値が足りないというか、メンバーの。
橋本:仕事の回し方がある程度分かったぐらいが。20代後半以降のほうがいい。
中島:そうですね。
橋本:社会の仕組みとかが、ビジネスの仕組みが。よくメディアとかだと若い新規事業担当者とか起業家とか持ち上げたがるけど、統計とか見ると、それなりに歳いってる人のほうが成功率が高いんですよね。
中島:それはそうですよね。
この先も続くイノベーション
橋本:IT の変革自体は、あと1世紀ぐらい続くっていわれてるんですよ。だからやれブロックチェーンだの AI だのみたいな話ってしょっちゅうあるじゃないですか。トレンドみたいな。そういうのってもうずっと来るんで。
だからどこかのタイミングで、俺この技術とか、僕らも IT とかウェブなんだけど、もっと新しいものが、VR とか AR とか分からないですけど、「これ乗ってみたい!」って思うものがあったら乗ってみたらいいんじゃないかなって思いますね。
まとめ
中島:結果あれですかね。「新規事業は楽しい」ってことでいいですか。
橋本:業みたいなものですかね。
橋本&中島&古長谷:(爆笑)
橋本:「魅力もあるけど大変なことも多いので、覚悟を持ってトライすると、その新規事業でしか得られない喜びとか楽しみもあると思いますよ」、みたいなことですかね。
中島:新規事業をやっている上での悩みなどございましたら、またコメント欄に寄せていただければ。
橋本:ご回答いたしますので。
中島:ぜひお願いいたします。
橋本:ということで、第9回ですね。新規事業の魅力でお届けしました。
中島:ありがとうございました。
古長谷:ありがとうございます。