【燃えたら】炎上プロジェクトの対処法【どうする?】- だれプロラジオ書き起こし#10


 

プロジェクトが炎上してしまったら

橋本:はい。皆さんこんにちは。パラダイスウェアの橋本です。

中島:中島です。

古長谷:古長谷です。

橋本:だれプロラジオ第10回。テーマは。

古長谷:プロジェクトが炎上してしまったら

橋本:はい。プロジェクトの炎上ですね。僕はプロマネなんで、炎上についてはちゃんとノウハウがあるわけなんですけど、どうですか。
 

炎上について

中島:炎上してしまったことって、やっぱりみなさんあると思うんですよ。気づいたら炎上案件に入れられてたとか、入る前から若干分かっていたとか、いろいろあるとは思うんですけど、制作会社の人間とか知り合いとかは、やっぱ基本的には寝られないとか帰れないとか、時間の制約がものすごくかかって、病んで潰れて田舎帰っちゃうみたいなパターンも本当にありましたよ。

橋本:帰る田舎があればいいけどね。

中島:そうですね。

古長谷:本当ですね。

中島:帰れないやつもいますよね。この仕事自体が嫌いになっちゃうみたいなところまでいっちゃうと。

橋本:よくある。

中島:そうなんですよ。昔はよく見たなと。僕は最近あんま見ないですけど。

橋本:たぶんそういうプロジェクトに関わってないから。

中島:そうなんですよ。

橋本:古長谷さんは。

古長谷:だいぶ数は少ないんですけど、私もプロマネとして入るところがあったら、大きいプロジェクトだと自分の範疇じゃない、こっち側のプロジェクトの玉突き事故みたいなことで炎上したみたいなこととかはあって。

橋本:食らっちゃう。

古長谷:それはなかなか防ぎようがなくて、ちょっと怖いなって、困ったなというのはありますね。

橋本:今までの回でもお話したと思うんですけど、基本、当たり前の話ですけど炎上プロジェクトに入らないっていうのが一番

中島:っていうのが一番。

古長谷:一番ですけど。
 

炎上の検知

橋本:自分自身のプロジェクトは炎上したのは1件だけなんですよね。300件ぐらいやってて。僕は「やばいメーター」みたいなのがあるんです。そのやばいメーターの基準は、「みんなが残業するかしないか」のラインなんですよ。

炎上を繰り返すプロジェクトマネージャーって、リリースのリスケをやっても、やばいメーターが低いんですよ。「まだなんとかなる」みたいな。「いや、なんとかなってないから!」って話じゃないですか。僕はやばいメーターがかなり敏感なので、検知が早いんですよね。

だから予定通りにプロジェクトが進んでない時点で、「なんか俺、間違ってんじゃねえかな」って思います。俺かプロジェクトの進め方の全体がどこかおかしいんじゃないかって思うので、自分では炎上させないですね。

古長谷:感度が違うんですよね。橋本さんのプロジェクトとそうじゃないプロジェクト。なんかあったら大体 Slack でうちはやりとりしてるし、マンモスでプロジェクトでやったりしてるんですけど、なんかあったら「一瞬電話いい?」って言ってくださるんですよ。そういう感度もやっぱり違う。ツールを使いこなすだけじゃないスキルがあるなと思って。

橋本:野性の勘がね(笑)。

中島:そうですね。

古長谷:それがない人とかだと、本当もう爆発寸前で「わー!」ってなる。

橋本:ただ、炎上プロジェクトの助太刀とかリカバリーみたいなことはやるんですよ。あんま好きじゃないけどね。

中島:そうですよね。

橋本:だって、そこに新しい価値ってないでしょ。

中島:ああ、そうか。

橋本:うまくいってないものを当たり前の状態に戻すだけなので。マイナスから。これ好きな人結構いて、立て直し。なんでかっていうと、クライアントに対して価値を出しやすい。すごく。

中島&古長谷:ああ。

橋本:当たり前の状態に戻すだけでものすごく感謝されるので。

古長谷:評価されますよね。
 

炎上したらどうするか

橋本:実は立て直し屋みたいな人は多いんだけど、炎上したらどうするかって、いろんな角度であると思うんですけど、いろんなものがもうおかしくなっているので、炎上したらまず止めることですね。

中島:ああ。

橋本:例えば、プロジェクトが炎上するじゃないですか。自分が炎上してることを知らずに入ってるとか、あるいは隣の家から火が燃え移ったみたいな場合。そういう場合は「ここちょっと焦げ臭いぞ」と思った瞬間に偉い人、そのプロジェクトの判断をする人に言う。

中島:うん。

橋本:炎上プロジェクトの怖いところは、炎上に慣れると判断力がおかしくなっていくところですね。どんどんどんどんおかしくなる。

中島:自己診断能力の低下。

橋本:自己診断能力がなくなっていくので、入ったばかりのフレッシュな状態で「やばいな」と思ったら、まずそれを早めに全体を判断できる人に言う

中島:うん。

古長谷:判断できる最終決裁者みたいな方が炎上を理解できない場合がありますが…。

橋本:それは早く逃げましょう。

中島:そうですね。

橋本:アラートを伝えた上で、その時点で普通は気づいてるんですよ、プロジェクトの最終判断する人も。「なんかあそこからレポート上がってこないな」とか、「なんかあいつ部屋の前すれ違ったら “大丈夫です” とか、 “順調ですよ” みたいなこと言ってるけど、毎日帰りが遅いな」とか。それって絶対いいサインじゃないじゃないですか。

中島:そうですね。

橋本:何らかの事態に気づいてるから、そのアラートを上げた時に「なるほど」っていうふうになりやすいです。そして、それを伝えた上でプロジェクトに入っていって、「今どうなってるの」っていうのを見た時に、もうぐちゃぐちゃになってる場合ってあるじゃないですか。

中島:あります。

橋本:それも一回止める。「止めたほうがいいと思います」と言う。相手は「でもいろんな契約やスケジュールの件で止められないんだ」と普通は言いますけど、「今止めなかったら処置が遅れて、よりリカバリーに時間かかりますけどいいですか?」と伝えて判断をしてもらう。走りながら車直せないでしょ。

中島:直せないですよ。そうなんですよ。

橋本:だから目的地まで急いで行かないといけないの分かるけど、「今止めれば15分で巻き返しができます」と。「だけど壊れたまんまでいくと、最終的にゴールに着くのが2時間遅れます」みたいな話になるので。

中島:そうですね。

橋本:そういう話をする。

中島:ピットインしましょうと。

橋本:うん。ピットインしましょうと。今この状態で止めるのはしんどいけど、やりましょうと。
 

炎上プロジェクトにはウソが隠れている

橋本:あと炎上プロジェクトって絶対嘘が隠れてるんで。いろんなところに。

中島:ああ。

古長谷:ああ。

橋本:(笑)

橋本:その嘘をちゃんと表に出す。例えばお客さんに嘘を言ってたりとか、開発チームに嘘を言ってたりとか、八方美人的なことをやっていて、収拾がつかなくなってるみたいな。これもプロマネやってると分かるでしょ、そうなる気持ち。

古長谷:分かります。

橋本:なんでそうなるかの気持ちはよく分かる。それなんでそうなるかっていうと、板挟みにあうからなんですよ。

中島:ああ、そうですよね。

橋本:お客さんは「これやってほしい」、「いついつまで上げてほしい」って言うし、開発メンバーは、「いやそれじゃあ要求は全部はできません」とか「この期間までにやるのは無理です」って言ってくる。で、会社の偉い人のところに行ったら、「いやもうこれで見積もり出してるから人は増やせない」みたいな回答を言われると、もうどうしていいか分からないんですよね。

後先のことを考えずに、「お客さんにはできます」、開発チームは「これやらなくていいって言われました」、会社には「これで十分です、人は足りてます」みたいな。…もうめっちゃ静かに(笑)

中島:静かになっちゃうな。

古長谷:それを言っちゃえる勇気のほうが逆にすごいなと思いますね。後のこと考えて言えないです。嘘をつくっていうことが。

中島:ああ。

橋本:ああ。そうね。

橋本:そう。後のことを考えると。

古長谷:大きくなって返ってくるって分かってるから。

橋本&中島:そうそう。

橋本:そうなるんだけど、それが例えば許されるケースって結構あるんですよ。僕はびっくりするんだけど、「やります」って言って「できませんでした」みたいなのって世の中的にすごくいっぱい、よくあって。大体の場合、いま人手不足なんでなんとかしてくれたりするんですよ。会社が。

中島:うん。

橋本:偉い人がお客さんのところに菓子折持ってって、「すみませんでした!」みたいなので、「しょうがないな。じゃあいついつまでにやれよ」みたいな話にまとまったりもするんですよ。そういうのを繰り返してると、PM も「それでいいんだ」と思っちゃう。

古長谷:ああ。「嘘をついてもいいんだ」っていう。

橋本:「これは俺の失敗じゃない」っていう整理になっちゃう。やっぱりそういうプロジェクトマネージャーは毎回炎上させてしまうので、そもそもの進め方がなかなかよくならないっていうのはありますと。

中島:そうですね。そういう人の周りにいる優秀な人はどんどん去っていきますよね

橋本:だってエンジニアとか絶対嫌でしょ。デザイナーでも嫌でしょ。

中島:嫌だ。「そんな人とやりたくないもう!」ってなりますよね。
 

炎上によるダメージ

橋本:やっぱり、プロジェクト炎上するとダメージがひどいので。さっきの鬱になったりとかね、あとやっぱり残業が続くとかって駄目じゃないですか。

中島:人間が壊れていきますからね

橋本:うん。だって、例えば僕も中島さんもちっちゃい子がいるけど、ちっちゃい子の成長を見られないとかって、仕事のプロダクトマネージャーがちゃんとやらないから毎日残業で、子どもの寝顔しか見れないみたいなのって、それって取り返しつかないですからね。

中島:つかないですね。

古長谷:つかない。

中島:だってもう見れないわけだから。

橋本:そう。同じ子の同じ時期はもう見れないわけなので、そういうのをやってしまうことって、メンバーのプライベートにもダメージでかいんですよ。

中島:そうですね。

古長谷:仕事のイライラとかでパートナーシップうまくいかなくなって、離婚って全然あります。

橋本:あります。そうそう。

中島:あります。本当にある。

橋本:従業員をモノだと思ってる会社は今でもたくさんあるから、もうそういう考え方だと使い捨てなんですよね。基本的に。

中島:うん。

橋本:その使い捨てにしてる会社の話って、今ネットにいっぱい出るからね。

中島:ああ。そうですね。

古長谷:そうですね。

橋本:優秀な人は来ないですよね

中島:そうですね。

橋本:それに、新規事業とか新しいサービスでいいものって作っていけないので、どんどんどんどんビジネス自体が廃れていっちゃうなっていう。

中島:そうですね。

橋本:それが、外に出るって結構な、大体会社の揉め事とか不満みたいな話って、両者の話を聞くと大体どっちにも言い分はあるわけですよ。

中島:そうですね。

橋本:だけど、これが継続的に、何人も同じ話をするっていう場合だと、仕事のやり方でそもそも大きな間違いがあるっていうふうに考えないといけないですね。ネットの話や噂を鵜呑みするのもあれですけど。
 

炎上に気づいたらアラートを出す

古長谷:関係者に言っても無駄な場合は、炎上案件からは。

橋本:そう。身を引く。でも我々はプロフェッショナリズムというか、仁義があるから、「もう嫌になった」ってバックレとか飛んだりとかしないじゃない。

中島:しないですね。

橋本:だから、「今こういう状況です」っていうのを最初の段階で言って、「これ止めないと危ないですよ」って。要はアラートを繰り返す

中島:うん。

橋本:そして、「自分が関われるのはここまでです」っていう撤退ラインをちゃんと予め言っといて。

中島:そうですね。

橋本:それで「どう判断するか考えてください」と。後任の人が来たら、ちゃんと引継ぎやるし、みたいな話を。

中島:そうですね。
 

炎上プロジェクトではスキルは伸びない

橋本:あと炎上プロジェクトって、いてもスキル伸びないんだよね

中島:ああ。それいい話ですね。

橋本:と思いますよ。

古長谷:見えない何かが削がれてる感覚しかない。

橋本:そうそう。仕事もすごく細切れになったものを大量にこなすっていうやり方しかできなくなっちゃうので、以前「プロジェクトマネジメントとか上流の考え方って大事だよね」みたいな話をしてたと思うんですけど、そういうのも身につかないですよね。当然。

中島:そうですね。

橋本:例えば自分がジュニアクラスで、これからプロジェクトのやり方を覚えたいと思った時に、炎上案件とか入ってると、一向に上流のことは理解できないまま疲弊することになるので、考えたほうがいいですよね。身の振り方を

中島:そうですね。

橋本:結構ネットとかで見てて辛いなと思うのは、ジュニアクラスで、仕事の仕方が分からない状態で炎上プロジェクトに突っ込まれた話とか。

古長谷:はい。ああ。

橋本:これわざとやってるんですよね。たぶんね。

中島:ええっ?

橋本:要は若いからとか体力あるから。それに、世間ずれしてないじゃないですか。

中島:「揉まれてきなさい」みたいな。

橋本:みたいな。

中島:うわ。

橋本:そういうやり方あるけど、やっぱ人潰れるんだよね。

中島:そうですね。潰れますよね。

橋本:これ聴いてる方で若い方がいて、もし自分がそういうふうに扱われてたら、そうかもしれないと思ったら、ちょっと周りにいるシニアの人に相談してみるといいかもしれないですね

よく昔の人は、「炎上で学ぶものがある」みたいなことを言うんですけど、それは自分が炎上を経験したことを正当化というかね。「あれは悪いことじゃなかったんだ」って思いたいだけだろって僕思うんですよ。

中島:なるほど。

古長谷:ジュニアクラスで感覚がちゃんとしてたりすると。私、新入社員の頃に見積り見て、「これ絶対おかしい」ってずっと言ってたんですけど、誰も聞いてくれなくて、結果中盤でダブルスコアになったんです。5000万円が1億円になってて。なんでかって、やっぱり見積もりがずれてたんですよ。だから言いたいんですけど、「自分の感覚は結構正しいよ」って。

橋本:そうそう。それはいろんな人に言ってね、もちろん若い時って勘違いも多いけど、当たってることもあるから、その判断が正しいかどうかを自分では分からないのはたぶん若さだと思うので。

古長谷:人に訊いてみてってところで。

橋本:相談するとか。利害関係がない人に相談するのが一番いい。

中島:確かにそうです。

古長谷:そうですね。

橋本:フリーランスとか起業家が横のネットワーク張るのはそれなんですよね。

中島:ああ、そっか。

橋本:利害関係がない状態で、いま自分が置かれた状況をスキルとか経験がある人に相談することの大事さをよく知ってるから。
 

炎上案件の対処法まとめ

橋本:残業が続いて炎上状態になって、判断力がまともでいられる時期って、短い人だと1か月、平均3か月。なんぼタフな人でも半年が限界なので。それを考慮して、自分のメンタルが強いか弱いかを判断して、このプロジェクトやばいよと思ったら、いつまで耐えられるかはちゃんと考えておかないと、本当にメンタルをやられるとリカバリーとても大変なんで

古長谷:年単位ですからね。

橋本:年単位。キャリアにとってすごくダメージが大きいので。これは誰も責任取れない。会社なんて絶対取れないし、キャリアが駄目になったことで誰も責任取れないので、炎上案件は…

 1. まず入らない
 2. 入って気づいたら「ヤバい」と偉い人に言う
 3. 嘘を暴く

これらが大事ですね。もちろん、ちゃんとやり方は考えないといけないですけどね。

「嘘がありました!」って大騒ぎすると変なやつって思われちゃうので、ちゃんとエビデンス固めて話す相手とか選んで、「今たぶんこうなってますよ」って話はしたほうがいいです。

炎上プロジェクトやってるプロジェクトマネージャーも判断力がなくなってる可能性があるので。「今の状態から見るとこうなってるけど、大丈夫ですか」みたいな話はしたほうがいい。

あとは、

 4. 自分の許容度というか、ストレスレベルをちゃんと把握して、耐えられなくなったら撤退しましょう

っていったところかな。あとは経営層の方に向けて言うと、炎上したプロジェクトをごにょごにょしちゃうと組織のレベルが上がらないですよ、という感じですか。

中島:皆さん自分を大切に。

橋本:特に前回の話でもあった新規事業とかやってると、炎上って本当に付きものなので、気をつけていきましょう。ということで、炎上案件の身の守り方。

中島:炎上案件に入っちゃったら…みたいな話だったっけ。

橋本:タイトルがもう(笑)。でもそういうことです。

古長谷:そんな感じです。

橋本:炎上案件の対処法ですね。でお送りしました。

中島:はい。

橋本:ありがとうございました。

中島:ありがとうございました。

古長谷:ありがとうございました。

 

Hashimoto Masayoshi
橋本将功
IT業界24年目、PM歴23年目、経営歴13年目、父親歴8年目。Webサイト/Webツール/業務システム/アプリ/組織改革など、500件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施。その経験を元に、誰でも簡単に効果的なプロジェクト運営を行うことができるツール「マンモスプロジェクト」を開発した。世界中のプロジェクトの成功率を上げて人類をよりハッピーにすることが人生のミッション。