リモートワークはなぜ失敗するのか?前編
橋本:みなさんこんにちは。パラダイスウェアの橋本です。
中島:中島です。
古長谷:古長谷です。
橋本:だれプロラジオの第16回。今回のテーマは。
古長谷:リモートワークはなぜ失敗するのか。
リモートワークについて
橋本:はい。リモートワークね。「テレワーク」は割とコンセプト的には昔からある話なんだけど、あんまり浸透しているとはいい難い。今ちょうど収録しているのが新型コロナウイルスが流行ってリモートワークに移行する会社とか、通勤とかイベントとかどうするんだみたいなのはまさに言ってる時期で。リモートワーク、僕らはめちゃくちゃ普通にやってるんだけど。
中島:普通でしょ。
橋本:なんで浸透しないのか。例えば IT企業ってリモートワークでうまく成果を出すためのツールとかサービスとかを提供してるわけじゃないですか。でも中の人たちは毎朝出勤してる、みたいな世界ですよね、今だに。
中島:何をしとるんじゃと。
橋本:世の中にもうすでに僕らは普段リモートワークは日常的にやっていて、そこで使うツールっていうのは、弊社で提供しているマンモスプロジェクトとかもそういうツールですけど、ツールはあるのになんでリモートワークが浸透しないのかというところがポイントですね。
今まさに新型コロナウイルスが蔓延というか、日本でも流行り始めていて、リモートワークに移行しなければいけないよねって話って色々聞くんだけど、実施できてないっていう状態があります。それはなぜなのか。言い換えると、僕らが「なぜリモートワークを普通にできているのか」っていうのがヒントなのかなと思います。
なぜリモートワークは浸透しないのか
中島:日本人って人の時間をロックするの好きですよね。「会社に来て頑張ってやってる感」が大事みたいな。なんでなんですかね。あの感じ。僕そういう業界の方と接さなくなってかなり日が長いからよく分かんないですけど。
やっぱり今回の特定のウイルスが流行って来てるとかありますけど、昔からインフルエンザは流行るし、朝ギュウギュウの電車乗ったら感染するリスクが高いのは分かってるし、今回は政府からも「不要不急の外出は控えるように」みたいなの出ましたけど、もっと自発的にリモートワークを取り入れていかないと、生産性が上がっていかないですよね。
橋本:今回深刻だなと思ったのが、日本で感染が確認されましたっていろんなニュースあったんだけど、ネットで話題になった事例が IT企業の話で。
中島:IT企業こそリモートワークでしょ!
橋本:僕が普段関わるプロジェクトでは、感染症の疑いがある、例えば「発熱しました」みたいな話があったら、自宅謹慎にして、本人は仕事ができると思っていても「少なくとも会社には来ないでくれ」ってしてますが、本来はそれが常識ですよね。
例えばプロジェクトマネージャーの立場からすると、メンバー1人が動けなくなることもダメージはダメージなんだけど、変に頑張って来られてそれが広がってさらに2-3人倒れましたとかなると、もう完全な悪夢なんですよ。そうなるとプロジェクトの成功自体がかなり危うくなるので。
とにかく風邪になっちゃうのはもうしょうがないですよね、誰だってなるので。だけどそれを広げないようにするっていうのがまず一番大事なんだけど、IT を扱ってる人たちが高熱が出てるのに休めないとか、ものすごく本末転倒な状態になってますね。
中島:何してるのかって。「IT はインフォメーションテクノロジーなんだよ!」と。
橋本:本当にそうなんですよ。
メンバーシップ型とジョブ型雇用
橋本:さっきの中島さんが言った話がまさに本質だと思っていて、難しい言葉で言うと、組織の雇用形態にはメンバーシップ型雇用がありますと。もう一つはジョブ型雇用っていうのがあります。
メンバーシップ雇用って何かというと、「社員として雇います」という雇用。だから職務に紐づいてるわけじゃない。今もだけど、新卒入社しました。あなたは何とか株式会社の社員ですよ、というスタイルですね。そういう雇用だと上司が「異動しろ」って言われたら異動しないといけないし、業態が変わったらその会社が任命したポジションで働かなくてはいけない。
ジョブ型雇用は、例えば中島さんデザイナーなので、「デザインお願いします」っていうような職務に紐づいて雇用とか労働契約が結ばれる形態です。日本は今までメンバーシップ型雇用が中心で、今も IT企業以外だと多いと思うんだけど、そういう会社は要は「アウトプットによるマネジメント」が一般的じゃないんですよ。
中島:なるほどね。
橋本:そういうメンバーシップ型雇用の会社だと、会社にいることが大事。
中島:そうですね。
橋本:ジョブ型雇用の人から見ると、メンバーシップ型雇用の人達って働いてるんだか働いてないんだか分からないみたいな気になると思うんだけど、メンバーシップ型雇用の人たちから見ると、自分が持ってる適性とかキャリアプラン、こういうのやりたいとか全く違う力学で部署に配属されたりすることもあるので、それはそれで大変なんですよね。
もちろん、配属もある程度会社の中で要望は聞いてくれると思うんだけど、会社も会社の都合があるから、必ずしも要望とマッチするとは限らない。自分が向いてない仕事で例えば次の配置転換まで2-3年は頑張んないといけないみたいなのは、まぁありますよね。
古長谷:ありますね。
橋本:メンバーシップ型雇用の人たちの立場で考えると、彼らは彼らでいろいろ大変だし、会社にいることが大事なので、毎朝通勤電車に乗って行かなくちゃいけない。
中島:行かなくちゃいけない。
橋本:そこがやはり求められるものの違い。
中島:そうですね。
アウトプットマネジメントの重要性
橋本:今みたいに生産性とか効率性が求められる時代だと、メンバーシップ型雇用といえど KPI を設定して、誰がどのくらいパフォーマンスを上げてるかを見ないといけないんだけど、それはそれ用のマネジメントスキルが必要なんですよ。
中島:ああ。そうですね。
橋本:それはメンバーシップ型雇用でずっと「忠誠心が大事」とか、「あいつは頑張ってる」みたいなので出世して偉くなった人にはできないです、アウトプットのマネジメントっていうのは。だからそういう会社でリモートワーク、テレワークやりましょうってなってもなかなかうまくいかない。
中島:ちょっと成立しないですよね、きっと。
橋本:僕はプロジェクトマネージャーなので、やってるプロジェクトではフリーランスでリモートワークでやってる人もいるし、オフショア開発で海外の会社とやり取りすることもあるわけなんで、そこら辺のアウトプットマネジメントができないと、正直話にならないわけですよ。
中島:そうですよね。
橋本:そこら辺のメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いっていうのは、かなりリモートワークができるかできないが出てくるのかなと。ただ、リモートワークの流れっていうのはもう変えられないと思うので。
中島:そうですね。僕はもっと自発的に導入してくれよって思うんですけどね。何か起こった時に「出勤できないかも」って外圧があって初めて検討するっていうのって、なんかちょっと違うと思うんですよ。
橋本: IT系でも、例えばインフラとか金融系みたいなプロジェクトはセキュリティをきっちりやってやらないといけないっていうのはあるんですけど、これも日本企業のよくないところだと思うんですけど、一度決めたルールを変えられない。
中島:そうですね。誰も幸せにならないと思うんですよね。
橋本:ルールは割と情緒とかその場の空気で決まるんだけど、「これって本当に意味のあるルールなんだっけ?」って見直すのにすごくカロリーが必要だったりするので、いらないルールがたくさん増えていって。セキュリティってそういう世界なんですよね。セキュリティインシデントって、実はいろんな企業でたくさん起こってるんですけど、専門ニュースサイト見てもらうと分かりますけど。
たまに例えば一般のマスコミが報道すると、それが「すごく問題だ」っていう風に炎上するんだけど、実は日常的に起こっていて。で、会社の立場としてはそういうネタにされたくないから、特に上場企業とかはネタにされたくないからセキュリティをガシガシに決めるんだけど、それによって生産性とか効率性が失われて、そういう環境で働くの嫌だっていって人が出ていくみたいなのがものすごくプロジェクトの世界ではよくある。
中島:よくありますね。よく噂になりますしね。そういうのはね。
橋本:「あそこはとてもやりづらい」とかね。でもそういうのって採用する側の会社は気づいてなかったりするんですよ。
中島:なるほどね。
橋本:「うちは常駐じゃないと駄目」っていう条件を決めただけで、今は採用できる優秀な人って一気に減るんだよね。
中島:減りますね。
古長谷:減りますね。優秀な人ほど。
会議は効率的に
古長谷:会社によって会議の目的がすごく曖昧だなと思いますね。何の準備もなく会議をするじゃないですか。私が月に1回クライアントに行くときは、必ずその前に「次は何するか」ってアジェンダ全部決めます。
中島:要点をギュッとしますよね。
古長谷:「これを決めるために行きますから、そのためにお互いに準備しましょう」っていうのがあって、うち(パラダイスウェア)もリモートするときはそうですけど。会議で「お客さんこう言ってるけど、どうしようか?」みたいな、本当そういう会社は多いです。
橋本:工数見積りの時にちょっと話したんだけど、メンバーシップ型の会社って1日の半分以上がミーティングで埋まってたりするんですよ。
古長谷:ミーティング地獄でしょ。
橋本:「これ、いつ仕事するの?」みたいな。割り振られた仕事をやる時間ないじゃんって。
中島:そうですね。
橋本:残業して、会社は無駄な残業代払ってみたいな話なんで、僕はミーティングの意義自体を否定するわけじゃなくて、ミーティングって意味があるんですよ。だけどそれはちゃんと準備しているから意味があるのであって、「今日はこれ決めますよ、これについて意見集めますよ」って決まってないとやる意味ないですよね。
古長谷:この会議はどういう意味があるのか、何を準備してくるのかっていうのを設定するのがプロマネの仕事ですよね。
橋本:そう。
古長谷:プロマネが機能してないってことですよね。
中島:そうですね。
橋本:そう。
中島:似たようなメンバーで似たような会議が、週に2-3回あるみたいなの、ありますもんね。
橋本:全く意味がない。
古長谷:デジャビュみたい。
橋本:無駄な会議についてもよく言われるんですけど、僕はプロマネなので稼働計算っていうのが身についていて、無駄な会議をやると1回の会議にいくらの稼働費がかかってるかっていうのが分かるので、僕は極力意味のない会議はやらない。
定例はある意味しょうがなかったりするんですよ。毎度毎度打ち合わせの時間を調整してるとみんなの空いている時間枠が分かんなくなっちゃうから。定例会議をやる際は「一旦定例にしますけど、定例に間に合わせるために準備をしましょうね」っていうのをベースの認識にしておくっていうのが大前提です。
意味のある会議もある
橋本:僕はリモートワーク賛成派だし、必要のない通勤とか打ち合わせはないほうがいいと思ってる人なので、通勤や無駄なミーティングが当たり前になってる人たちからすると、「いやいや、ミーティングには意味があって」っていう話を聞くんですけど、僕はそこは否定しないんですよ。
いろんな角度から意見を集めたかったりとか、例えばシステムの話だとよくあるのが、業務要件とシステム要件を決めないといけないですという話があって、さらにその二つが行ったり来たりするテーマというのは、みんなで集まって意見を出しあったほうが確認の手間は省けるのでやるべきだと思います。だけど本来1対1で話すこととか、個別に進捗どうなってます?みたいな確認は人を集めて定例ミーティングでやる必要ないんですよ。
中島:そうですよね。リモートで十分。
まとめ
橋本:というわけで、まだまだ尽きないリモートワークの話ですけど。
橋本:そうですね。具体的なテクニックは次の。
中島:後編のほうに。
橋本:後編のほうに。じゃあ前半のまとめをすると、
一つ、アウトプットをマネージメントすることが大事です
一つ、無駄な打ち合わせをなくしましょう
ということで第16回。リモートワークはなぜ失敗するのか。前編をお送りしました。はい。ありがとうございました。
中島:ありがとうございました。
古長谷:ありがとうございました。
中島:後編でお会いしましょう。