良いプロジェクト計画は何が違う? 「失敗しない計画」の立て方とは

2017/5/7 橋本将功 プロジェクト計画,新規事業

変化の激しい現代社会は、新しいことに常に挑戦していかないと勝ち残ることが厳しい社会です。
同じことを繰り返しているだけでは、世界規模での競争相手に負けて「ジリ貧」状態に陥ってしまいます。

そこで、たくさんの人がスタートアップを始めたり、多くの企業では新規事業や新規サービスの開発に取り組んでいますが、そうしたプロジェクト的な試みというのは必ずしも成功率は高くありません。

Standish Group による調査では、実に 83.6% ものプロジェクトが失敗しているという結果が出ています。

実際、プロジェクトの現場でも多くの失敗を見聞きします。その失敗の原因はどこにあるのでしょうか?

 

プロジェクトの失敗はどこにある?

上記の調査では、失敗の原因は下記のように報告されています(邦訳は筆者)。

1. 不完全な要件定義  13.1%
2. ユーザの協力不足  12.4%
3. リソース(資金や人材、時間など)の不足  10.6%
4. 非現実的な期待  9.9%
5. 経営層の協力不足  9.3%
6. 要件や仕様の変更  8.7%
7. 計画の欠如  8.1%
8. プロジェクトのキャンセル  7.5%
9. ITマネジメントの欠如  6.2%
10. 技術リテラシーの欠如  4.3%
11. その他  9.9%

プロジェクト経験の多い方は「あるある!」と思わず納得してしまうリストではないでしょうか(笑)。

確かに失敗するプロジェクトを見ていると、上からの鶴の一声でやることが決まって、「なんとなく」予算と納期が決まって、具体的なことがなかなか決まらずにヌルっとプロジェクトが始まって、ああでもないこうでもないとやっているうちに時間が過ぎてリソースを食い潰していく、というケースが非常によくあります。

これが結果的に、不完全な要件定義やリソースの不足、関係者の協力不足や非現実的な期待などに繋がってしまうのです。

 

逆に、成功率の高いプロジェクトリーダーを見ていると、「決めなければいけないこと」をできるだけ早めに決めにいくことがわかります。
つまり、プロジェクトの早いうちに「不確実性を早く潰していく」のが成功のカギになるのです。

その際に重要なのはやはり「計画」です。

 

「失敗しない計画」は何が違う?

どんなプロジェクトでも営業や企画段階で予算獲得のために計画を立てると思いますが、計画は「理由や背景(why)」を元に、大きく分けて「何を(what)実現するか」の目的・目標計画と、それを「誰が(who)どこで(where)どのように(how)いつまでに(when)実現するか」の実行計画という二通りのものを作成する必要があります。

多くのプロジェクトでは「何を実現するか」という目的・目標の計画には時間が割かれている一方で、「誰がどこでどのようにいつまでに実現するか」という実行計画がおろそかになっているために失敗するのです。

確かに商談や予算承認のために分厚い資料を作って盛大なプレゼンテーションをやると、ひと仕事終わった気持ちになるのは理解できますが(笑)、それはスタートラインに立ったに過ぎません。

当たり前の話ですが、プロジェクトは最後まで求められる品質や予算、納期を守ってキッチリ終わることが大事です。

 

そこで「やはり計画は大事だ」と事前に精密な実行計画を立てるケースがありますが、そもそも、プロジェクトというのは新しいことに挑戦して価値を生み出すという試みなので、ルーチンワークと違って事前に完璧な実行計画を作ることはできません。

例えば、新宿の雑踏や東京駅の地下街を入り口から目的地まで「どの方向に何歩歩いて何度ターンしてまた別の方向に何歩歩く」などとルートを事前に精密に計画するのはほとんど不可能なのと同じことです。仮に可能だとしても、その事前計画にはかかる労力と時間の多さに反してほとんど意味がないでしょう。

 

また、「何を実現するか」という目的の部分も、実際のところは始めてみないと分からないことも多かったりします。例えば、あるシステムを作るときに、手を動かして技術の深掘りをしてみないと実現可能性やかかる工数が判断できなかったり、連携する他のシステムの仕様が固まらないと決められない部分があったりするのは通常のことです。

プロジェクト計画は不確実性が少ないほうが理想的ですが、実施前に詰められる部分というのは限られているのが現実なのです。

つまり、プロジェクト計画は目的・目標計画と実行計画は相互に影響し合うもので、プロジェクトの進行に応じて常に精度を高めるためにメンテナンスしていく必要があります。

言い換えると、失敗しないプロジェクト計画は常に鮮度が保たれているのです。

 

どうやってプロジェクト計画の鮮度を保つか?

ここで問題になるのは計画の共有と更新の手軽さです。

エクセルやパワーポイントで作成された重厚な資料は更新性とリアルタイム共有の要素が弱く、メールで送ったり社内ファイルサーバーなどに置いておいても見る人はほとんどおらず、あっという間に形骸化して「死んだ計画」になってしまいます。

例えば、途中参画したプロジェクトで全体像を把握するために社内ファイルサーバーを漁ったら、入り組んだフォルダ構成の奥にプロジェクト計画書を見つけてそれに目を通してみると最終更新日は2年前で、さらに更新した人はもう退職していた、なんてことは息の長いプロジェクトではよくあることです(笑)。

 

これを防ぐためのひとつの方法は、最近浸透し始めたクラウド型ファイル共有サービスを使ってファイルを参照しやすくかつ編集しやすくしておくことですが、目的・目標計画の方はそれで間に合っても、頻繁に更新する必要がある実行計画の方はエクセルなどではやはり効率が上がりません。

特に日々変化の激しいプロジェクトでは、昨日の作業や状況を計画に反映して関係者に共有するのに丸一日かかる、なんてこともあります。こうなると、メンバーが見ている情報は「昨日の最新情報」になってしまうので、計画の鮮度を保つことが難しくなります。マネージャーが忙しくなると、これもやはりすぐに形骸化してしまいます。

 

そこで、実行計画の部分は更新しやすいタスク管理ツールを導入することになりますが、そうすると目的・目標計画と情報が分離してしまうことになるので、今度はツールの二重(多重)管理問題が発生してしまいます。

ITリテラシーや好みの差によって、ある人はファイル共有サービスばかりを使い、ある人はタスク管理ツールしか見ない、というような状況が発生するのです。この問題はツールやプロジェクト関係者が増えれば増えるほど弊害が大きくなります。

プロジェクトの計画の鮮度を保つには、これらの問題に対処しなければならないのです。

 

ひとつのサービスで目的・目標計画と実行計画を管理しよう

さて、ここからは製品のご紹介です。

これまでお話してきたような「プロジェクト計画の鮮度」の問題は多くのプロジェクトで発生しており、これを書いている私もプロジェクトリーダーとして多くのプロジェクトを担う際に直面してきました。

多くのケースでは文句を言わずにエクセルやパワーポイントの資料をこまめに更新し、メールやチャット、会議などで進捗状況を確認して各所に伝達したりして労力でカバーしてきましたが、これを大幅に楽に、かつ効果的に行うことができるツールを開発しました。それがマンモスプロジェクトです。

マンモスプロジェクトでは、「ノート」と「ディスカッション」という機能で目的・目標計画を管理することができ、「タスク」で実行計画を更新・共有することができます

 

ノート

ノート機能では、wiki のようにオンライン上で情報を更新して共有することができます。Word よりも編集が簡単なので、プロジェクトの目的や目標などをどんどん更新することができます。ファイルも添付できるので、プロジェクト発足当初のファイルなどを貼り付けておいて、そこからの差分だけを反映する、なども可能です。

決まった要件や仕様、開発環境の情報などをまとめておくと「あの情報ってどこ行ったっけ?」などということが起こらず、とても便利です。

 

ディスカッション

ディスカッションでは、特定のテーマなどに沿って決まったことや伝達事項をチームに一括で伝えたり、要件などを話し合うのに使うことができます。目的・目標計画でプロジェクト当初は詰められなかった要件などを決めていくのに便利です。

誰でも簡単に使える掲示板で、返信したり添付ファイルを共有することができます。チャットのようにメッセージが流れていかないので、何週間何ヶ月前のやり取りでも明確に確認することができます。

ミーティングや電話、対面で話し合ったことを箇条書きなどで簡単に共有しておくと、後で「言った言わない」で揉めることもありません。

 

タスク

タスク画面では、リスト/カンバン/プロジェクトマップ/ガントチャート/カレンダーの5つのビューを使い分けられるタスク画面を利用することで、簡単にタスクの洗い出しや組み立てを行い、常に鮮度の高い実行計画を共有することができます。

特にプロジェクトマップビューでは、タスク同士の関連性を可視化してリアルタイムで伝えることができるので、調整や伝達のためのマネジメントコストを大幅にカットすることができます。

…いかがでしょうか。最後は製品の紹介になりましたが、ポイントは「プロジェクト計画の鮮度を保つこと」なので、必ずしもマンモスプロジェクトを使わないとできないことではありません。

ただ、利用することによって大幅にマネジメントコストをカットして「ストレスフリーなプロジェクト管理」ができるようになるので、気になる方はぜひお試しください。

 

さて、今回は「失敗しないプロジェクト計画」について、その鮮度の重要性を中心にお話しました。

今後は「なぜプロジェクト計画がこれほど軽視されているのか?」や、プロジェクト計画のうち「なぜ作るのか(why)」の掘り下げや、「何を作るか(what)」の部分をどうやって作成していくか、「やるべきこと」をどうやって分割して組み立てていくかのコツなどについてもお話しようと思います。お楽しみに。

 

Hashimoto Masayoshi
橋本将功
IT業界24年目、PM歴23年目、経営歴13年目、父親歴8年目。Webサイト/Webツール/業務システム/アプリ/組織改革など、500件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施。その経験を元に、誰でも簡単に効果的なプロジェクト運営を行うことができるツール「マンモスプロジェクト」を開発した。世界中のプロジェクトの成功率を上げて人類をよりハッピーにすることが人生のミッション。